【男子】2024年度 第1回デフバスケットボール日本代表強化合宿報告
1. サインバスケ体験会
千葉市に協力をいただき、地域のミニバスチームとデフバスケ体験会を行いました。
(1)日時 2024年2月24日9時~11時
(2)主催 千葉市市民局生活文化スポーツ部スポーツ振興課
(3)会場 千葉市立本町小学校
(4)参加者
鶴沢クレインズ(男子18名、女子5名)
デフバスケットボール日本代表強化選手 鈴木聡太、徳永拓也、三瀬稜史、山田洋貴
トライアウト生 北村遼
石川TL、須田ASC、廣嶋CM、椎津M
JCOM株式会社(取材)
流れは以下の通りです。
1 自己紹介・デフバスケの説明
2 アップ
3 ドリブル練習
4 シュート練習
5 デフバスケを考える
6 声出しバイオレーションによるゲーム
《体験会内容》
1自己紹介・デフバスケの説明
各選手の自己紹介とサインネームを伝えました。サインネームを覚えてもらえたか確認しました。 「デフ」の意味を質問しましたが知っている児童はいませんでしたが、聞いたことがある児童が半数以上いました。集合のサインも伝えて、練習の合間にこのサインが出た時はすぐ集まるルールを掲げて進めました。
2アップ
フラッグを使用し、「デフバスケでは目を使って判断する」ことを教えました。ルールは黄色いフラッグが上がったらドリブルをはじめる、赤いフラッグが上がったらドリブルを止めると提示しました。 右手、左手、両手で交差、色々なドリブルをしながら、顔を上げてずっとフラッグマンの目を見ながら楽しんでしていただきました。
3ドリブル練習
グループ分けしてデフ日本代表選手も混ぜてジグザグ進むドリブルをリレー方式で競争して楽しみました。
4シュート練習
デフ日本代表選手が児童たちにハイポストとローポストのサインを教えました。そのサインの背景としては、 ゴール下でパスを出してハイポストかローポストいずれかの場所の指示をする役、対面でサインを「見て」シュート を打つ位置へ移動してシュートをする練習です。声に頼らない「目で見る視覚的バスケ」を楽しんでいただくことができました。
デフ日本代表選手が複数の児童にミート(パスの受け取り方)を教えたりして楽しく交流ができたと思います。
5デフバスケを考える
デフ日本代表は試合中に、スクリーンに来て欲しいときにどうやってコミュニケーションをとっているのかを児童のみなさんに考えていただき、それぞれ発表をしました。 自分たちの中で「サイン」をつくることができれば、声に頼らずとも自分たちのプレーに活かせることを理解していただきました。
6声出しバイオレーションによるゲーム
先ほどみんなで考えたように、聴覚に頼らないプレーを体験していただくべく、「声を出したら相手ボールになる」というルールを設けて、耳栓等を持参している児童はつけていただき、代表3人と児童5人のゲームを数回行いました。最初は声出しバイオレーションが1回ありましたが、それ以降はまったく声を出すことなくプレーができていました。児童のみなさんは適応能力が高く、スタッフ共々驚かされました。
残り時間もわずかになり最後のゲームに出たい人を確認した際に全員挙手しましたので、デフ日本代表5名VS児童23名というゲームを行いました!楽しく締めることができました。
最後に
児童から質問を受け付けたところ、「試合前の心構えとは?」「試合とかで緊張しているときにどう対応しているか?」「練習以外何をしているか?」など、バスケに関する質問から「嫌いな食べ物は何ですか?」という質問まで幅広く質疑応答がありました。
集合写真撮影後、各選手へサインを求める行列ができていました。
2.強化合宿
(1) 日時 :2024年2月24日(土)13:00~ 開始 25日(日)~16:00 解散
(2) 会場 :千葉県障害者スポーツレクリエーションセンター
(3) 参加スタッフ:石川TL、須田ASC、雪森AC、廣嶋CM、椎津M、猿木M候補、
松井トレーナー候補、井筒トレーナー候補
(4) 参加選手 :手塚清貴(強化指定A)
鈴木聡太、徳永拓也、三瀬稜史、青木康一、山田洋貴、永澤太基(強化指定B
中嶋寿道(強化指定U18) 北村遼、稗田諒、高山和也(トライアウト生)
以上、参加スタッフ8名、参加選手12名
【1日目】 2月24日(土) 13:00~17:30
1日目の現場の流れは、下記のとおりです。
13:00〜 練習開始
1 ストレッチ(20分)
2 リズムトレーニング(30分)
3 フレックス(ノーマル、フラッシュ、ピック)(60分)
4 フレックス(ハンドオフ)(60分)
5 トランジション、速攻(30分)
6 速攻からフレックスに繋げる(30分)
7 スタック(40分)
《チームの約束事》
⮚ フレックスの確認。
⮚ スクリーンアウトのルール。
17:00~17:30 クールダウン、着替え、ホテルへ移動
17:30~20:00 選手、スタッフ各自で夕食
20:30〜21:30 スタッフミーティング
21:30~22:30 選手ミーティング、就寝
《合宿内容》
千葉市役所で勤務している会田様(市バスケット部所属)に練習メニューの一部をお手伝いしていただきました。
フレックスフォーメーションのおさらいとポイントを踏まえて確認しました。
長谷川普及委員長が視察のため来館され、選手へ激励のお言葉を頂きました。
須田ASCの指示のもとで今まで合宿で行ってきた内容を確認・修正しながら練習を行いました。
デフバスケ日本代表のベースオフェンスとなるフォーメーションの細かいルールを再度確認し、吉瀬HCの理想のオフェンスの形を須田ASCが解釈して丁寧に細かく伝えることで選手たちもより深く理解できました。フォーメーションが単調な動きで終わってしまうことが多く、デフバスケ日本代表選手たちのアイデアを活かしきれない状況を鑑みて、「予測、準備、タイミング」のキーワードを伝え、自分から「デフとして表現」できるように促しながら練習を進めていきました。これからの大きな課題として見えてきた一日でした。
【2日目】 2月25日(日) 9:00~17:00
2日目の現場の流れは、下記のとおりです。
7:30~8:45 宿泊先で各自朝食、8時45分に集合
9:00~16:30
1 ストレッチ(60分)
2 リズムトレーニング(30分)
3 フレックス(ノーマル、フラッシュ、ピック)(60分)
4 トランジション、速攻(15分)
昼食後、 井筒トレーナー候補より骨盤を柔らかくするメニュー導入(20分)
5 シェルディフェンスの確認(25分)
6 75分ゲーム/5on5(40分)
16:30~17:00 クールダウン、着替え、解散
総括
ピクシーダストテクノロジーズ様のご厚意より文字起こしアプリや機器のいただき、聴者の発声情報が視覚化されました。手話やサインバスケも含め、情報保障環境が充実できたことで、吉瀬HCがやりたいバスケットボールの本質をデフ日本代表全員が掴み始めている様子を感じられました。
ディフェンス練習をビデオに撮影し、それをスクリーンに映しながらチーム全員でディフェンス動きの確認をしました。
レジェンズ様との合同練習をしたことは、デフバスケ日本代表にとって東京デフリンピックに向けて大きな収穫でした。チームのまとまりは日頃の練習や試合の積み重ねによる結果を表すものなので、 内容と過程を大事に積み重ねていきたいです。今後、デフバスケ日本代表がデフバスケットボールとして勝てるようになるために練習すべきポイントは、下記の通りです。
✔ チームのフォーメーションを全員がアイコンタクトで自然に展開できるようになる
✔ ペイント外へ追い出す「相手選手を飛ばせないスクリーンアウト」の徹底したしつこいディフェンスとは何か選手で考察(シェルとの違い、使い分け)し、実戦へ繋げる
レジェンズ様より、「スクリーナーが止まってからユーザーが動き出したほうがいいが、今の様子では動き出しが早すぎて、スクリーンが結果として成り立っていない。ボールを受けるときの緩急が必要」だと教えていただきました。また伝えてくださった「一人一人のアイデアを出せるか」が大切です。デフバスケ日本代表選手たちのデフとしての主体性が問われ、これらをしっかり出していくことが大切だと改めて感じさせられた合宿内容でした。
また、スタッフの役割について、今後は細分化して業務に集中できるような体制の見直しを図る事としました。意見交換が活発になり選手個々の主体性を伸ばすために中長期計画書を用い 提出させることで自身をアウトプットして、自分の足りないところを見つめ直す良い機会となり、 より良いチーム強化に繋がると感じられました。
4月の試合に勝つために以下の項目を目標に掲げ、解散しました。
✔ 最終的にサインを使わずに進められる(共通認識が自然にできている)
✔ 全員スクリーンアウトから速攻、そのままチームオフェンスへ途切れることなく移行する
✔ しつこいディフェンス(何をしつこくするか、シェルとの使い分け)
スポンサーのオンザコート様、サントリー様、そして機器を提供して頂いたピクシーダストテクノロジー様、一緒に練習に参加して頂いたレジェンズ様、応援に来ていただいた会田様(千葉市役所勤務)、田中様(千葉市役所勤務・日本デフハンドボール協会役員)方々、誠にありがとうございました!
次回の合宿は、2024年4月6日(土)~7日(日)に新潟(新潟県)で第2回日本代表強化合宿を行う予定です。
次回の予定
日 時:2024年 4月5日(土) 9:00 〜 2024年 4月6日(日) 15:00
場 所:新潟市体育館(新潟県)
宿泊先:新潟グランドホテル