【男子】第3回デフバスケットボール日本代表強化合宿報告

合宿の目的と期間

日時 2023/07/14(土) 13:00 – 2023/07/16(日) 16:00
会場 14日~15日AM 戸山サンライズ / 15日PM~16日 大田区総合体育館
人数 参加スタッフ:8名
参加選手:11名
岡田智彦カメラマン参加
男子日本代表TL(チームリーダー)の石川です。2023年第3回デフバスケットボール日本代表強化合宿は、2023年7月14日~7月16日まで、戸山サンライズ・大田区総合体育館にて開催されました。目的は、「男子日本代表選手の育成」と「デフバスケ(サインバスケ)の未来を担う関係者(選手やスタッフ)の育成」を達成するための必要な知識と技術を学ぶ機会を創出することです。以下の通り、報告させていただきます。

【1日目】 7月14日(金):13:00~18:00

13:00~13:25(25分)
【受付】
14:00~14:10(10分)
【オリエンテーション】
今回の合宿のテーマは『デフ日本代表の現実を知る覚悟を持つ!』と『アクションを起こせ!』でした。選手への連絡事項の伝達は以下の通りに①~③を簡易に説明しました。
1 第2回強化合宿決算
2 第3回強化合宿決算
3 合宿の注意事項
次に、今回の合宿でのキャプテンは交代制ですが、今回は小沼・越前の両選手がキャプテンとなりました。小沼・越前の両選手は過去に日本代表の経験を持つキャリアがある方々なので、戸山サンライズ、また日本バスケットボールの聖地である大田区総合体育館で一致団結して選手たちをまとめしてくれると期待しました。
14:10~15:00(90分)
【グループワーク】
GBN を用いて、前回の振り返りを目的にグループワークを実施。
1 (Good/Bad)Goodの時間は第2回合宿全体の良かったところと成長したところを選手たちで話し合いながら認め合い、またBadの時間は前回の合宿全体の課題点、成長するために必要な要素も含めてお互いにどうするべきか話し合いました。
2 (Next)Nextの時間は、第3回強化合宿でチャレンジするために各自で考え、グループ内で共有してまとめたうえ、発表しました。発表後は、質疑応答の時間を設け、選手・スタッフ間で活発な意見交換ができました。

 

15:00~16:00(60分)
【ウォーミングアップ】
今回の合宿で初めてラダーを用意し、ウォーミングアップしました。選手たちは皆方ACの説明を確認しながら行いました。ラダーの目的は、「体を早く・正確に動かす」とし、10種類のメニューを行いました。さらに、コンタクトを意識して、3種類の押し合いの練習も行いました。敏捷性の向上や体をぶつけることへのトレーニングをウォーミングアップの中に取り入れながら、選手が練習に入る上での身体的・精神的準備を行っていきます。

 

15:00~17:00(90分)
【練習】
(1) 4か所からのミート&シュート
(2) 4on4シェルディフェンス
(3) パターンオフェンス(5種類)
(4) 5on5
上記の(3)パターンオフェンスは、他国代表チームとのスクリメージをイメージしながら戦術の応用を確認しました。横浜市を本拠地とし、3×3プロバスケットボールチームとして活動しているBEEFMAN.EXEとの試合に向けて、パターンオフェンスであるフレックスの動きの確認と目的の再確認を何度も行いました。また、スクリーンはダウンスクリーンとし、ダウンスクリーンの時に動くタイミングとスクリーンをかけるタイミングの確認をしました。動くタイミングが早い選手を見かけたらスタッフが注意するだけではなく、選手たちが教えあうシーンが見られてよかったです。

 

17:00~19:00(90分)
【グループワーク】※栄養指導
(1) 選手たちがおにぎりを作って食べる
(2) 廣嶋CM(チーフマネージャー)が栄養指導する
上記の(1)について、廣嶋CMの指示でおにぎりを作ってかつおだしをかけて食べるという内容でしたが、選手たちが懸命におにぎりを作ってかつおだしをかけて食べたら、「うますぎる!」と感動して大好評でした。それでエネルギーを補充することができました。次に、廣嶋CMが「日本代表としての自覚とは?」についてプレゼンを使用し、選手たちに説明しました。選手たちに「つよいメンタルをつくるのは?」と問いかけしましたが、回答になっていませんでした。結局、廣嶋CMの回答は「毎日の食事と補食がパフォーマンスも上げてつよいメンタルにつながる」ということです。それを聞いた選手たちは「なるほど!」と言って勉強になったとのことで、よい講習会になったと思います。
19:00~20:00
【1日目合宿終了】解散。着替え、宿舎へ移動。
移動と食事を行い、21時30分からスタッフミーティングを実施し、1日目合宿終了しました。

 

【2日目】 7月15日(土):9:00~18:00

9:00~9:30(30分)
【受付】
9:30~11:30(120分)
前日の復習としてオフェンス面は貰い方、フレックス、ピック&ロール(ハイエルボー)の確認をしました。また、ディフェンス面は4種類行いました。特にシェルディフェンスの確認では、選手同士、スタッフのサポートも含めて分からないことがないように気をつけていました。
11:30~12:30(60分)
【移動】
戸山サンライズ→大田総合体育館へ移動
12:30~15:30(120分)
【午後の練習】
(1) シューティング(昨日やったシューティングなどをして体育館に慣れる)
(2) 対人(1対1、2対2など)
(3) 動きの確認(フレックスなど)
(4) スクリメージ
(5) シェルディフェンス
上記の(1)シューティングについて、ボールの貰い方(右足→左足、左足→右足、両足でジャンプストップ、後ろに下がるステップバック)に集中し、普段と違う体育館に慣れるように、感覚をつかむ時間となりました。(2)対人について、相手のDFによって動き方を変えながらプレーできるように、雪森・皆方ACの指示を聞いて選手同士でコミュニケーションを積極的に取りました。確認後、相手のDFをつけて1対1をしていたうえ、それぞれの選手たちがDFとのズレをうまく使って効果的に攻めることができていたと思います。(3)動きの確認について、フレックスの確認としては動くタイミング、カットする選手はスクリーンをする味方にぶつかるくらいスレスレを通るように、ブラッシングを意識(仲間とコンタクトするのはファールにならない)しました。動きが理解できず練習を止めてしまうことが多い選手は、一度コートから出して、雪森・皆方ACに確認して細かく指示してもらうと効率よく練習が進むと思いました。動きが理解できない状況になったら、スタッフが選手に雪森・皆方ACのところに再確認してもらうように導く必要があると思います。

 

15:30~16:30(60分)
【紅白戦】
※16:30~17:00まで片付け、講演会の準備
初めはお互い動きを制限していましたが、徐々に動きに切れが出てきました。ノーマークのシュートは高確率で決定したので、動きに慣れているように実感しました。最後に、選手同士のコミュニケーションがよく取れていることが素晴らしいと思いました。石川TL(チームリーダー)、吉瀬HC(ヘッドコーチ)の横浜ギガスピリッツ(地域リーグ)時代の元チームメイトの大堀さんとの再会、差し入れを頂きました。大堀さんからフレックスに対するアドバイスを頂きました。選手たちは懸命に聞いていました。ありがとうございました!
17:00~19:00(120分)
【メンタル講演】
「スラムダンク勝利学」著者のスポーツドクター辻先生のメンタル講演
日本デフバスケットボール協会顧問であるスポーツドクターの辻秀一先生からメンタルトレーニングの講義を受講しました。受講内容は「いいTEAMとは?」のことで、選手・スタッフとともに参加して一緒に考えました。TEAMを構成する要素である「個人」・「全体」・「関係」をそれぞれレベルアップさせていくように意識することが重要だと実感しました。一番印象に残ったのは、未来・過去に捉えずに、「今生きるべきことは何か」ということを意識すると自分らしい生き方を感じ、発揮する状態になることを理解しました。また、発揮する状態が「flow」と呼ぶということを理解し、石川TLにとって新鮮な気持ちになり、素晴らしい学びとなりました。

 

19:00~20:00
【2日目合宿終了】解散。着替え、宿舎へ移動
移動と食事を行い、21時30分からスタッフミーティングを実施し、2日目合宿終了しました。

 

【3日目】 7月16日(日):9:00~16:00

9:00~10:00(60分)
【自主練】
10:00~12:00(120分)
【ウォーミングアップ】
ウォーミングアップ、シューティング、フレックス、ディフェンスの確認
12:00~13:00(60分)
【全体ミーティング】
吉瀬HCが選手たちへ「点数のことは気にせず、目の前のプレーに集中しよう。」と「常に0対0の気持ちで戦おう。」とアドバイスしました。更に、「見に来てくれた方々が応援したくなるような一生懸命なプレーをしよう!」とチームで励ましあい、共通理解しました!

13:00~15:00(120分)
【BEEFMAN.EXEとの強化試合】
戦績:デフジャパン 36 対 125 BEEFMAN.EXE
<DFの評価>
・ヘルプ、カバーについては、選手一人一人がボールを守る意識ができていた。ローテーションもよい場面も見られた。
・強化試合では外国籍のビックマンを囲んで気持ちよくプレーさせなかった。
・試合終盤にはボールを奪い速攻につなげるなど意地を見せてくれた。
・リバウンドに関しては、世界レベルの高さを経験できたことはよかった。 ・スクリーンアウトの徹底、1回で取れなくてもチップして、こぼれたボールはすべてマイボールにするくらいの気持ちが見えた。
<DFの課題と改善点>
・3線のDFはボールマンとマークマンが見えるポジションを意識したい。
・ビジョン、ポジションの徹底。
・ビックマンからのキックアウトに対してのクローズアウトを速く、手を挙げてチェックすることで、3Pの確率を少しでも下げられるので意識してもらいたい。
<OFの評価>
・高さに苦しむ場面はあったが、ドライブで中に切り込んでからの3Pシュートなど良いプレーも見られた。
<OFの課題と改善点>
・強化試合を重ねるごとで、フリーの状態でシューティングできるようにしてもらいたい。
・ただのシュートを打とうとするのではなく、世界の高さを意識したプレーを繰り返して慣れてさせること。
15:00~17:00
【片付け】
片付け、協会と選手、スタッフとのミーティング、解散

 

総括

選手間でのコミュニケーションがよく取れていました。ミーティングでも選手たちからの熱い思いを聞けて覚悟を感じました。デフリンピックでの目標を達成するために、準備と備えをしっかりして選手、コーチ陣が集中できる環境を作っていきたいと思います。千勝STL(サブチームリーダー)候補、猿木スタッフ候補が新たに加わってスタッフの増員となり、それぞれの役割を発揮してくれました。反省点を生かして、選手・スタッフが1つになって頑張りましょう!協会の皆様、サントリー様、BEEFMAN.EXEの皆様、審判様、TO専門とTOボランティア様(西武文理高校の皆様)、岡田カメラマン、応援に来てくれた皆様、誠にありがとうございました!
次回の合宿は、8月11日(金)~13日(日)に第4回日本代表強化合宿があります!13日(日)午後から仙台大学(東北1位)との強化試合を行う予定です!引き続き、応援よろしくお願いします!!